五重塔へいらっしゃい

ぼくはいつも、JR京都駅から東海道新幹線に乗って旅に出る。列車がそろりそろり動き出すと、きまって南側の車窓の外に目を向ける。そこには東寺の五重塔がいつも見送ってくれている。

「ウンウン、ここは京都なんだッ、そうなのだッ」
などとなぜだか再確認、および納得してしまう。

五重塔を見て“京都”を実感する人は
なにもぼく一人のことではあるまい――。

東寺

東寺の五重塔を車窓から眺める時は、“成人式の日、はじめて着た振袖を鏡で見て、恥ずかしそうに微笑む女の子”のようだと思っていた。「初々しいなぁ、可憐だなぁ、ウンウン」

東寺

ところがどっこい。実際に五重塔の前まで来てみたら思わず口をポカーンと開けずにはいられなかった。

圧倒的な存在感が押し寄せてくる。高さは55m。すっかり忘れていたが日本に25基ある五重塔の中でも最大だったのだ。
しかし高さ以上に驚いたのは、その重量感である。車の排ガスや長年のちりやほこりで表面は黒くすすけていて、そのせいもあってか、木造とは思えないたくましさが漂う。

塔の柱は一本一本が太い。ぼくが両手を広げるとだいたい1.5mの長さになるが、柱に抱きついたとしても、両手がつながらないのではないだろうか。

「オッス!自分は柔道5段であります!オッス!好きな食べ物は、
焼肉であります!オッス!」
東寺の五重塔は実は、“体育会系男子”だった……。

今回の旅は、ぼくの思い込みがひっくり返るところから話が始まってしまった。

東寺 五重塔

写真と文 / 高橋友和

■東寺・・・
近鉄京都線 東寺駅下車 徒歩約3分



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