花も団子も下鴨神社(前編)

新年あけましておめでとうございます。
2007年も『風水旅日記』をよろしくお願いします。

さて、今回は下鴨神社について2回に分けて紹介します。ここでひとつ質問。みなさんはみたらし団子が好きですか?
ぼくは大好きです。ではみたらしって何?と聞かれたら、あなたはなんて答えますか?
その答えは下鴨神社にありました。

下鴨神社は正式には、賀茂御祖神社(かもみおやじんじゃ)という。この神社は紀元前までさかのぼれるほど歴史は古いが、神社として成立したのは天武天皇6年(677年)のことである。
桓武天皇が平安京を造営するにあたり、王城鎮護の神社として崇敬したことから、朝廷とのつながりが深まり、以後隆盛を極めていった。いまでは国家安泰から五穀豊穣、厄除け、方除けなどさまざまな祈願に応じる神社なのだ。

下鴨神社

下鴨神社は糺の森(ただすのもり)と呼ばれる、古代の原生林がそのまま残った森の中にある。樹齢200〜600年の樹木だけでも約600本が自生しているそうだ。
広さはおよそ3万6千坪(東京ドーム3個分)あるが、応仁の乱(1467)以降、戦乱によってたびたび焼かれて小さくなり、やがていまの規模になった。

 「糺す」とは、“問いただす”の“ただす”である。この森でご祭神が人間のもめごとをきき、真偽を裁いたという伝説が神社に残っている。現在、森のすぐそばには伝説を知ってか知らでか、京都家庭裁判所がおかれている。

下鴨神社

参道から鳥居をくぐり、楼門へ向かう途中で、なにやら行列ができているのをみた。ここは相生(あいおい)の社といって、えんむすびを成就させたい人には御用達の神様なのである。
社の隣にある授与所で絵馬(500円)を受け取り、願い事を書く。目隠しシールがもらえるので、書き終わったら上からシールを貼って隠す。だからどんな願い事でも他人に見られることがないのだ。ぐふふッ。

参拝作法は独特である。絵馬を持ったら女性は正面からみて右から左へ社を3周してから絵馬を掛け、そのあと社を参拝する。男性の場合は左から右へ3周し絵馬を掛けてから、参拝へ。
この社のわきには京の七不思議に数えられる、“連理の賢木(けんぼく)”とよばれる木がある。2本の木が途中で1本に交わっているのだ。なんでも相生の神様のご神威でくっついたそうな。

下鴨神社

楼門(ろうもん)である。楼門は寛永5年(1628)に建て替えられたが、建築様式はまさしく平安期のものである。朱がまぶしい。古代はるか大陸から、朱色には魔除けの意味があると伝わった。
下鴨神社には本殿の東殿・西殿が国宝のほか、この楼門をはじめ53棟が重要文化財に指定されている。また上賀茂神社と同じく、世界文化遺産にも登録された。

下鴨神社

楼門をくぐり、御手洗池(みたらしいけ)から眺めてみた。御手洗池は毎年土用の丑の日、池の水に足をひたし、無病息災や安産を祈願する足つけ神事が行われる場所だ。もともと貴族が罪やけがれを祓い清めるものだったのが庶民にも広まり、いまに受け継がれている。

ちなみにみたらし団子とは、この神社の御手洗池が発祥の食べ物である。後醍醐天皇(1288〜1339)が手で水をすくうと、池から泡がぶくぶくと浮いたことに由来する。それ以来、葵祭や足つけ神事にはみたらし団子を神前にそなえるようになったという。

ぼくは下鴨神社の参道を歩いているとき、この季節だからかずいぶんあたりの景色がさびしいと感じた。しかし、朱色に輝く鳥居と楼門が遠くに見えたときは、なんともたとえようのない安堵感を感じた。
1200年前、はるばる地方から希望を持って平安京へやってきた旅人が、羅城門を見上げた時、おそらくぼくと同じ気持ちだっただろうと想像してみても、あながち間違いではないだろう。

写真と文 / 高橋友和

■下鴨神社・・・
JR京都駅から市バス205系統、4系統で約30分。
「下鴨神社前」下車すぐ。



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